革の知識がある人なら、“希少な革財布”と聞いたとき真っ先に思いつくのが「コードバン」ではないでしょうか?
馬のお尻のわずかな部位を採取したものをコードバンと呼びますが、革素材の中でも“革の王様”や”革の宝石”と称されることもあります。(理由は追々説明します)
コードバンの手入れをする上で、改めてコードバンの特徴を頭に入れておく必要があるかと思います。
今回は、コードバンの特徴とお手入れ方法、おすすめのコードバンクリームをご紹介します。
アイキャッチ画像:コードバンのお手入れとエイジングについて|GANZO
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コードバンの財布の特徴
おすすめのコードバン財布をご紹介していく前に、まずはコードバンという革そのもののスゴさや手入れ方法など、基礎知識についてみていきましょう。
圧倒的な強度と、高い希少性
コードバンという革素材を一言で形容するとしたら、「頑丈」「希少」「ツヤ感」といったところでしょう。
コードバンはブライドルやカーフスキン等の牛革と比べると2~3倍の強度があると言われています。
型崩れしづらい上に汚れや傷もつきにくいので、コードバンの財布は大切に愛用すれば“一生モノ”になり得ます。
希少性も非常に高く、使っているとツヤ感が増していくことから、“革のダイヤモンド”と呼ばれることもあります。
美しいエイジング(経年変化)が魅力
革財布に「エイジング(経年変化)」という楽しみを求めるのであれば、牛革と並んで期待できるのがコードバンです。
後ほどくわしく解説しますが、コードバンとひとくちに言っても種類は様々。仕上げ加工によって使い込んだ時の表情は大きく異なります。
使い始めの見た目だけでなく、エイジングも加味してお気に入りを探せるところもコードバン財布の面白いところといえるでしょう。
コードバンは水分に弱い!
これほど魅力たっぷりな革素材「コードバン」ですが、デメリットも一つだけあります。
それは「水分に弱いこと」です。
雨に当てて放置すると、シミになってしまうこともあります。(どの革にも言えることですが)
もし水に濡れてしまったら、やわらかい布ですぐにふき取りましょう。
それから、革のダイヤモンドと呼ばれるコードバンの財布であっても、使い方によっては当然型崩れはおきます。
特に財布を尻ポケットに入れるクセがある人は、扱いに注意が必要です。
コードバンの種類とそれぞれの特徴・注意点
コードバンにはいくつか種類があり、それぞれ特徴や扱いの注意点に違いがあります。
財布に使われるコードバンで代表的なのが以下の5つ。
- 水染めコードバン(アニリン染めコードバン)
- 顔料染めコードバン
- オイルコードバン
- シェルコードバン
- 蝋引きコードバン
仕上げの加工方法ですみ分けがされています。ここからはそれぞれの特徴・注意点をまとめて紹介していくので、ぜひ財布選びの参考にしてみてください。
水染めコードバン(アニリン染めコードバン)
水染めコードバンは、水に溶けやすい性質を持つ「染料」で仕上げ加工を施したコードバン。アニリン染めコードバンとも呼ばれ、硬くハリのある革質と美しい透明感が特徴です。
深部まで色を入れていないため、血筋や毛穴の跡など表情豊かな革の表情を楽しめます。
水染めコードバンはツヤ出しが施されている事が多いので、経年によるツヤの変化は少なめです。ガッツリとエイジングを楽しみたい方は、革の色味が変化がわかりやすい茶色を選ぶのが良いかと思います。
水染めコードバンは水性の染色で染められているので、水滴を放置してしまうとムラになりやすいです。濡らしてしまった場合は、すぐに乾いた布で拭き取ってあげましょう。
顔料染めコードバン
顔料染めコードバンは、染料とは反対に水に溶けにくい性質を持つ「顔料」で仕上げ加工を施したコードバン。革の上にしっかりと色を入れているので発色がよく、若干の耐水性があります。また、こすり傷などにも強いです。
ただその一方で、革のナチュラルな風合いを隠してしまっておりやや無機質な印象があります。また、上から色を重ねているので革の風合いの変化も見えづらいです。
丈夫さという面ではメリットが大きいですが、素のコードバンの風合いを楽しみたい方にはやや不向きかもしれません。
コードバンの中でも比較的扱いは楽なので、ガシガシ使えるコードバン財布を求めているならば選択肢にいれるもありかと思います。
オイルコードバン
出典:tavarat.jp
オイルコードバンは、内側にたっぷりと油を染み込ませる加工方法で仕上げたコードバン。コードバンの中で最もメジャーで、素材に採用している財布ブランドも多いです。
メリットは、折り曲げに強くひび割れが起こりづらい点。潤沢にオイルが染み込んでいるので、オイルメンテナンスも1年ほどは必要ありません。
使い始めからツヤがありますが、使用していくとオイルが全体に馴染んでさらに美しく光ります。
ただ、他のコードバン同様に水には弱いので要注意。水滴がついた際はサッと拭くようにしましょう。
シェルコードバン
シェルコードバンは、アメリカの老舗タンナー「ホーウィン社」が商標登録を行っているオイルコードバン。貝(シェル)のように美しいツヤを持つことから、その名前がつけられたと言われています。(諸説あるようですが、)
高級革靴にも採用されており、Alden(オールデン)など名だたる名門ブランド御用達の革としても有名です。
値は張りますがコードバンの中でも圧倒的なカッコよさと存在感があるので、予算にこだわらないのであればイチオシです。
シェルコードバンの特徴は以下の記事でもくわしく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
蝋引きコードバン
蝋引きコードバンは、その名の通り蝋引き加工が施されたコードバン。
蝋引き加工の革で有名なブライドルレザーと同じように、表面にグリースが凝固して白く浮き出る「ブルーム」が現れているのが大きな特徴です。
ブルームが残っているうちはやや撥水性がありますが、従来のコードバン同様水に弱いことに変わりありません。扱う際は水滴に注意しましょう。
魅力はマットでワイルドな風合い。中性的な雰囲気もあるコードバンとはまた違った、男らしい表情を楽しめます。
コードバン本来のツヤが隠れているため好みは分かれますが、使い込んでいくうちにブルームが落ちてツヤが出てくるのが楽しいところです。
使用によってガッツリ風合いを変えていくので、エイジングを楽しみたい方にはピッタリかと思います。
コードバンの良いエイジングと悪いエイジング(写真あり)
使い込んだ時の風合いの変化(エイジング)が魅力のコードバンですが、実際にどのように変化していくのか気になっている方も多いかと思います。
また、「扱いが難しいと聞くけど、失敗したらどうなるの?」と不安を持つ方も少なくないはず。
そこでここからは、コードバンの良いエイジングと悪いエイジングの例を画像付きでくわしく紹介していきます。
コードバンの良いエイジング
上でも解説しているとおり、コードバンの経年変化の現れ方はそれぞれ種類によって大きく異なります。
ここでは、「水染めコードバン、オイルコードバン」2つのエイジングの成功例をSNSの画像投稿を取り上げながら紹介していきます。
水染めコードバンの良いエイジング例
水染めコードバンのパスケースを使っていた方がSNSにあげていたエイジングの様子です。色味はグリーンで、使用歴は4年ということでした。
四年間頑張ってもらったブレイリオのパスケースには一旦休んでもらう。こっちは水染めのコードバン(グリーン)だけど、なかなかエイジングが進んだね。 pic.twitter.com/Q4XDKX3ZZZ
— はまじ (@j_hama1229) December 21, 2016
水染コードバンは最初からツヤ出しが施されているものが大半なので、使用によるツヤの変化は少なめです。
経年変化の大きな特徴は、染料が落ちて素の革の色味が顔を出す点。折れ目の部分や擦れることの多い裏側に大きくアタリが出ているのが印象的です。
革がめくれたり水の侵食による大きなダメージは見当たらず、とっても綺麗に経年変化しています。
ただ、人によってかなり好みが別れる見た目になっているとは思います。
色味が濃いほど変化のムラが大きくなるので、使用感が出るのを好まない方は茶色など素の革の色に近いものを選ぶのがおすすめです。
オイルコードバンの良いエイジング例
オイルコードバンの財布を愛用している方がSNSにあげていたエイジングの様子です。
素の革に近いナチュラルな色味の財布を好んで愛用されているようで、新品の状態の写真(3枚目)も載せられていました。
全部ゴードバンナチュラル
1枚目:シェルコードバン(ganzo)(1ヶ月使用)
2枚目:オイルコードバン(キプリス)(3年使用)
3枚目:オイルコードバン(キプリス)(新品)
4枚目:新喜皮革(1年使用) pic.twitter.com/RipgyFgJxi— きっき[ ᐛ ] (@ki_ki123456789) May 22, 2020
オイルコードバンのエイジングは、どんどん革の色味が深くなってツヤが増すのが特徴です。
SNSに上げられていたのはナチュラルな色味のモデルなので、かなり風合いの変化が大きいです。
4枚目の写真をじっくり見ると水シミがあるようですが、革の色味が深くなっているのでそこまで気になりませんね。むしろ、味になっていてかっこいいです。
二枚目の写真の財布の折れ目の色味が濃いのは、おそらくオイルを入れているからでしょう。使い込んで馴染んでいくと、周りの色味と同化するかと思います。
オイルコードバンは一部の色が抜けて大きくムラが出ることはないので、自然なエイジングを楽しみたい方に特におすすめです。
コードバンの悪いエイジング
全種類のコードバンに共通して起こりやすい悪いエイジングは、「水ぶくれ」。革の表面に付着した水気によって引き起こされるのが特徴です。
牛革など一般的な革は少量の水気であれば、銀面(人間で言う皮膚の部分です)がクッションになって浸透を防げます。
一方でコードバンには銀面がなく、皮下組織がむき出し。そのため、水気を吸って風合を損ねやすいんです。
水ぶくれが起こってしまったコードバンは、以下のような見た目になります。
水ぶくれは革の専門用語で「ブク」とも呼ばれ、フラットに整えられたコードバンの繊維が水気で起き上がることで起こります。
画像を見ると、一部の革がプクッと浮き上がりコードバンの滑らかな外観を損ねてしまっている事がわかりますよね。味とは言い難いダメージです。
ただ、水ぶくれが起こってしまったからといって完全に諦める必要はありません。
コードバン専用クリームを塗り込み、表面を滑らかなもので擦ることで多少目立たなくなります。
ただ、完璧に元の状態に戻ることはありません。なるべく濡らさないのが吉です。
コードバンを美しくエイジングさせる3つのポイント
ここからは、コードバンを美しくエイジングさせるコツをまとめて解説していきます。
ポイントは以下の3つです。
- 細かな傷を気にせず毎日使ってあげる
- 水気に注意する
- オイルの入れすぎに注意する
それぞれくわしく見ていきましょう。
①細かな傷を気にせず毎日使ってあげる
コードバンを美しくエイジングさせる一番のコツは、毎日使うこと。毎日使うことで手の脂が革に馴染んで保湿されるので、革の状態を良好に保てます。
また、毎日外の空気に触れさせることで革の色味の変化も起こりやすいです。
コードバンは表面が硬く肌目が細かいので傷は付きやすいですが、革の色味が変化していくと傷は味となり目立ちにくくなります。
「絶対傷つけたくない!」と神経質になるよりも、ガシガシと毎日使い込んであげるのがおすすめです。
②水気に注意する
上でも解説していますが、水気はコードバンの大敵。コードバンを濡らしてしまうと、水ぶくれが起きて外観を損ねてしまいます。
水気を避けて美しくエイジングさせるためにも、以下のポイントを意識しておくとよいでしょう。
- 鞄を防水にする
- 汗染みに注意する
- ハンカチやタオルを持つ習慣をつける
普段鞄を持ち歩く方は、防水の鞄に乗り換えておくと突然の雨からコードバンの財布を守れて安心です。
普段財布をポケットに入れて持ち歩く方は、汗染みに要注意です。夏場などガッツリ汗を掻きそうな時期は、なるべく鞄で持ち運びましょう。
万が一濡らしてしまった時は、サッと拭き取る事が肝心です。コードバンの財布を持つ際は、ハンカチやタオルなどを一緒に持ち歩く習慣をつけるのが良いかと思います。
③オイルの入れすぎに注意する
コードバンを扱う際は、オイルの入れすぎに要注意。
コードバンのオイルメンテナンスは、革が乾いてきたり、濡らすなどのダメージを与えてしまった時以外は基本的に不要です。
コードバンにオイルを入れすぎると、本来のツヤが失われてしまったり、コシが無くなってしまうリスクがあります。
普段のメンテナンスは、ブラッシングと乾拭きで十分です。
次の項目でおすすめのメンテナンス用品を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
コードバン財布のお手入れ方法
本格的な革財布を使うのであれば、お手入れとは向き合っていく必要があります。
とはいえコードバンという皮革は単層構造なので、シンプルな手入れで十分です。
たまに手入れするというよりは、さっと手入れすることを習慣化してしまうのがおすすめです。習慣的に手入れをすれば、その度に愛着も実感できますね。
- 汚れを防ぎ、単純に長持ちさせられる
- 独特な美しい光沢が増していく
- しっかりとした経年変化を楽しめる
手入れには、ざっと挙げるだけでもこんなメリットがあります。
コードバン財布の手入れに必要なアイテム
やわらかい布
基本的に化学繊維のものではなく、綿100%などの柔らかい布を使用するようにしましょう。(メガネ拭きや使い古した無地のTシャツ等でもOKです)
特に使い始めのうちは乾いた柔らかい布だけで拭くのがおすすめです。
専用のクリーム・ワックス
革がカサカサしてきたら、手入れ専用のクリームを使用するのがおすすめです。
防水スプレーはシミの原因になり得るので、使わない方が無難です。
クリームを使用するときも、財布に直接塗らず、柔らかい布に少しだけ馴染ませてから塗り込むようにしましょう。
専用のブラシ
クリームやワックスを使用する前に、汚れや埃を取り除くのに必要なアイテムです。
しっかりとしたメンテナンス方法は、下記の動画をご覧ください。
(本格革製品ブランド「GANZO」が公開している手入れ方法の動画です。)
おすすめのコードバンクリーム
コードバンは一般的な革とは特徴が異なるデリケートな素材なので、メンテナンス用のクリームを選ぶ際はコードバンに対応しているものを選ぶ必要があります。
そこでここからは、コードバンのメンテナンスにおすすめのクリームを紹介していきます。
コロニルシュプリームクリーム(無色)
¥3,100
コロニルシュプリームクリームは、有機溶剤を一切使用していない革に優しいメンテナンスクリームです。
こちらで紹介しているものは、革に色がつかない無色のタイプ。
本来の色味を変える事無く保湿・ツヤ出しができるので、コードバンのナチュラルなエイジングを楽しみたい方にピッタリです。
コードバンだけでなくヌメ革やイタリアンレザーなど幅広い革に対応しているので、一つ持っておくと便利かと思います。
【長谷革屋】コードバン専用ワックス
¥2,750
革の鞣し職人長谷川さんが考案した、コードバン専門のオイルワックスです。
革の鞣し工場で実際に使われているものをブレンドしているので、品質はお墨付き。とても保湿力が高く、乾いたコードバンに塗ればツヤがたちまち復活します。
成分は「天然の魚油,鉱物油,カルナバロウ」を配合しています。水分量が少なめなので扱いやすく、メンテナンスに慣れていない方にもおすすめです。
COLUMBUS CORDOVAN CREAM
¥1,728
日本の靴メンテナンス用品メーカー「コロンブス」が展開する、コードバン専用のメンテナンスクリーム。
自然由来の保湿成分が複数ブレンドされており、優しくコードバンを保湿してくれます。
カラーレスなので色味が変色する心配も無用です。
コードバン財布ならこのブランドがおすすめ!
さて、ここまではコードバンの財布を購入する前の基礎知識をご紹介しました。
ここからは「超高品質なコードバンの財布」を販売しているおすすめのブランドと、コードバン財布をいくつかまとめました。
cocomeister(ココマイスター)
コードバンの財布を調べるということは、あなたは革の質にこだわりを持っている人でしょう。
そんな人におすすめなのは、欧州最高級の皮革を日本の熟練職人が縫製するハイクオリティ財布ブランド「cocomeister(ココマイスター)」です。
コードバン ラウンド長財布(国産最高級コードバン)
希少なコードバンの中でも最高級のものを採用し、ブライドルレザーのような「ロウ」を演出する独特な加工を施しているラウンド長財布。内装にはヨーロッパの厳選されたヌメ革を使っている。
くわしく見る
マイスターコードバン ハイフライヤー(水染めコードバン)
日本が世界に誇る名門タンナーに継がれる伝統製法により染め上げた、非常に希少で贅沢なコードバンを採用した長財布。内装も抜かりなく、イタリアの最高級オイルレザーを採用している。
くわしく見る
シェルコードバン 二つ折り財布(世界最高峰タンナー)
革マニアも唸るアメリカの超名門タンナー「ホーウィン社」のシェルコードバンを、贅沢に外装・内装両方に使用している二つ折り財布。“経年変化”を目的とした皮革なので、長く愛用したい人に特におすすめ。
くわしく見る
まとめ
いかがでしたか?
今回は、コードバンという革の魅力や手入れの方法、そしてコードバンの財布が好きな人におすすめのブランド、財布をご紹介しました。
最後にコードバンについてまとめておきます。
- 馬一頭から僅かしか採れないので希少価値が高い
- 皮革としてはトップクラスの硬さを持っている
- 革の経年変化を楽しめる財布が多い
- 水分に弱いので、注意と手入れが必要
- cocomeisterのコードバン財布はおすすめ
ぜひ参考にしていただければ幸いです。